【支那事変と思想戦】〔6/8〕内閣情報部長 横溝光暉氏述・昭和14年
【支那事変と思想戦】
(六)國家總力戰と思想戰 p15-18/22
斯樣に今日の戰は單なる武力と武力との戰ではなくなつて、
武力戰の他に思想戰あり、
殊に最近吾々は多年使ひ慣れた羊毛とも別れ、
木綿とも別れ、
金とも別れ、
敢然と國策に從つて戰うて居る
所謂 經濟戰もある。
此 經濟戰をも戰つて行かなければならぬことに
相成つて居るのであります。
此頃では國家總力戰と云ふやうな言葉が
非常に用ひられるようになつて來た。
時代の推移は必然的に戰爭の進化を齎しまして、
世界の各國とも好むと好まざるとに拘らず、
意識するとせざるに拘らず
國家國民の全體を歸一統合し、
全國民の全知全能を盡し、
國家の總力を擧げて有事に備へなければ
ならぬのであります。
それが今日の實情であります。
従ひまして戰爭は國民自身に向けられて居るのであつて、
國民自身が深刻に戰爭の苦痛を共にするに至りまして、
初めて勝利が得られるのであります、
従ひまして
獨逸のルーデンドルフ將軍は
獨逸のルーデンドルフ將軍は
「何處から陸海軍の力が始まり、
何處で國民の力が終るかといふ事は
現今の戰爭では最早限界がつけられなくなつた。
軍と國民とは一體となつた。
實際文字通りの國民戰爭であつた。
世界列強はこの終結した力を以て
相拮抗したのである。
廣大なる戰線と洋々たる海上に於て敵の武力と戰ふと共に、
敵國民の精神及び生活力を破壊する事に努力したのである」
と言つて居る。
―略―
昭和十四年二月 十日印刷
昭和十四年二月廿五日發行(非賣品)
編輯兼 熊本市城見町一番地
發行者 熊本中央放送局
代表者 永松善次
印刷所 熊本市紺屋今町四一番地
合名會社 博文舎印刷所
印刷者 右 同 所
角 安次郎
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【 】『国立国会図書館デジタルコレクション』
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