【京都ミュージックシーンの系譜】
生きる儘@京大西部講堂
入り口で渡された竹籠弁当は、
京都屈指の出張茶懐石「三友居」のもの。
同店の山本寛氏は大の「村八分」ファンという
ロックン・ロール・マンだそうである。
さらに講堂内の茶室を預かったのは
上七軒の老舗和菓子店「老松」の五代目・太田達氏、
供されたお干菓子は
木村氏のご令嬢の嫁ぎ先でもある
「亀屋伊織」の山本和市氏が用意されたもの、
「本家 尾張屋」の前には十五代目稲岡傳左衞門氏が立ち、
ブライダル業界の雄「TAKAMI」の社長・高見重光氏や、
先頃、文字通り新たな船出を果たした
「一澤信三郎帆布」の裏方を支えた
徳力みちたか氏の顔も見える。
誰もが当然のように協力を申し出たのだろう。
他にも名前を挙げれば誠にキリがない、
豪華な顔ぶれとかどうだとか、
有り体な言葉では言い表せないほど
京都を拠点に活躍する錚々たる面子が揃った。
ステージに向かって最前列の席に座す御仁が
乾杯の音頭を承った。
青蓮院門跡、第四十九世門主・東伏見慈晃氏である。
お父上は久邇宮邦彦王の第3王子にして
香淳皇太后陛下実弟、
つまり現天皇の従兄弟にあたるというお血筋である。
縁は「青蓮院門跡・華頂殿」の襖絵を
木村氏が手がけたことという。
さらに、現役の学生達が数十名、
「ここは何だ?今日は何の場だ?」
と怪訝な顔で入ってくる。
聞けば立命館大学の客員教授を務めている
筑紫哲也氏の引率でやってきた学生だという。
筑紫氏も壇上で、
「(木村氏とはいろいろな場面で親交があるが)
麻雀仲間です」と一言、場内を沸かせる。
―略―
木村氏の予想どおり、
内田裕也氏は会が始まってずいぶんと
時間が経ってから現れた。
樹木希林さんを伴って。
ご夫妻そろって、
出入り口にほど近いテーブル席に無造作に腰掛ける。
VIP待遇など全く求める風でもない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇