[140]〔中南甚之助君〕p184-185[現代船井郡人物史]

[現代船井郡人物史]三丹新報社:大正五年九月二十五日発行

[140] 〔中南甚之助君〕p184-185
    前 梅田村長
    船井郡梅田村
祖先代々農を業とし
地方屈指の財産家として其名あり、

氏は明治四年九月十日
現在地に呱々の聲を擧ぐ、

其高等小學校を卒業するや
明治二十二年六月擧げられて
同村役場書記となり、

同三十八年十二月同村収入役となり、

四十三年九月助役となるに及び
収入役辭任、

四十四年十二月村長たるに及び又
助役を辭任せり

爾来其職に在る

一期にて本年一月退職したるが
此間實に二十餘年克く公職の爲に盡瘁し
事蹟の見るもの亦尠しとせず、

然るに惜むべし今や閑地にあり、

君資性温厚篤實にして磊落、
貧富貴賤に依りて區別する樣なる事なく
實に平民的氣輕な人にて
頗る任侠に富み
旦那樣何ふか頼みやすと揉手をすれば
見捨てる事の出來ぬ質にて、
人の爲に失敗せしこと
決して尠しとせず、

殊に君は酒を好み
美人を愛する等
富豪の旦那樣としての貫目はあれども、
餘り經濟界には用ひられざる男なり、

されど年歯尚春秋高く
實際の手腕を社會に認めらるゝは
寧ろ今後にあるなり、

君幸に自重以て
晩年の成功を期し
捲土來重益々公共の爲に貢献し
努力吝ならざらんことを望むものなり。

大正五年九月二十日印刷
大正五年九月二十五日発行
編輯兼発行人 藤本 薫
       京都府天田郡福知山町字岡ノ九番地ノ拾五
印刷人    中西勝太郎
       京都市下立売小川東入西大路町十番戸
印刷所    中西印刷合名会社
       京都市下立売小川東入西大路町十番戸
発行所    三丹新報社
       京都府天田郡福知山町字岡ノ九番地ノ拾五