[106]〔岩崎久左衞門君〕p140-141[現代船井郡人物史]

[現代船井郡人物史]三丹新報社:大正五年九月二十五日発行

[106] 〔岩崎久左衞門君〕p140-141
    酒造家
    船井郡須知町
氏は明治十四年五月生にて
岩崎周次氏の長子なり

祖先代々農を業とし
前代周次氏は同町區長たりしこと
三期却々に名聲ありたり、

氏は小學校卒業後同町
須知銀行事務員となり
孜々奮勵中
頭取岩崎革也氏の信認を博し
同家從來の酒造業の一部を譲受け
合資的經營する事となり
氏が其支配人となり責任を荷ひたるも
兩者の思志疎通を欠く處ありて
遂には全部を引受け
氏が自邸に於て醸造する事となりたるものにて
爾來獨立經營の下に
年々向上發展して
今日の隆盛を見るに至れり、
資産增進するに連れ
名望次第に加はり

明治四十三年
町會議員に擧げられたる
爾來再選を重ねて
現今に至れるのみならず、

大正三年三月
同町長に擧げられる等
隆々として偉大の勢力を示したるも

斯くては本業の酒造
意に任せざる爲め
家事都合を楯に

昨年四月町長を辭任したるが
爾來酒造業の爲に熱中するに至りしかば
銘酒朝日の名は其名に耻ぢず
旭日の勢を以て販路日に月に擴張され
嘖々たる名聲を博するに至り
淸酒品評會等に於て
賞牌を受くるもの數回に及べり、

君は實に温厚篤實にして
人と爭ひを好まず、
されど何事にも精神誠意努力を盡して倦す
飽まで之れを實行せしむると云ふ氣慨あり、

其堅實なる志操は
今日酒造家として成功せる所以なり、

君年歯春秋高し
幸に自重自愛以て
家事のみか國家の爲め
公職にも其手腕の吝ならざらんことを
切望するものなり。

大正五年九月二十日印刷
大正五年九月二十五日発行
編輯兼発行人 藤本 薫
       京都府天田郡福知山町字岡ノ九番地ノ拾五
印刷人    中西勝太郎
       京都市下立売小川東入西大路町十番戸
印刷所    中西印刷合名会社
       京都市下立売小川東入西大路町十番戸
発行所    三丹新報社
       京都府天田郡福知山町字岡ノ九番地ノ拾五
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