明治九年:東京司藥場:第一回藥舗開業試驗:當時唯一人の受驗者

[衞生試驗所沿革史]
内務省衞生試驗所
昭和十二年三月
内務省東京衞生試驗所長
衣笠 豐

藥舗開業者の資格制定及第一回藥舗開業試驗 p40
―略―
醫制(明治八年五月十四日)抜抄      p40
―略―
上記の如き藥品取扱に關する規定を含める  p42
醫師取締の基本制度たる醫制は
全國一斉に施工を命せず、
先づ三府に於て漸次之を施工せんことを企圖したるを以て
三府各施工の時期を異にするが如き現象を生じ
此點今日より看れば奇異の感なきに非ざるも
維新後日猶淺き時なれば行政上の手心を以て
順次施工を許したるものなるべし
而して前記醫制の趣旨に依り
藥舗開業の試驗を開始したるは
左記内務省の告達に基けるものなり

東京府、大阪府、京都府
醫制第三章ノ趣旨ニ依リ藥舗開業ノ者試驗ノ儀
當分別紙ノ通相定メ來ル
明治九年一月一日ヨリ施工候條此旨布達候事
明治八年十二月二十五日
内務卿 大久保利通
―略―
本年五月一日より土曜日曜兩日を除き
毎日午後藥品實地試驗傳習致すべきに就き
年齢十五歳以上のもの五拾名を限り
受業差許候間
藥舗相續の者又は新に開業志願の者は其區の戸長
或は慥なる證人の添書を以て
四月二十日迄當場へ可申出此段廣告候也
明治九年三月二十七日          p42-43
傳習科目
豫科 實地科學大意、藥物學、製藥學
本科 日本局方及處方學         p43

當時東京司藥場に於て施工せる、
第一回藥舗開業試驗の問題及び
當時唯一人の受驗者の答案
其他試驗結果に對する試驗官の上申書等は
今日より看れば甚だ興味深きものなるを以て之を掲載すべし。 p43
試驗問題
―略―
採點
―略―
右の次第に付應答の優劣を三等に分つ時は
中等に位する者と看做し可然見込に有之候    p44

右に對する開申書
藥舗一名試驗願出之者
東京府病院より通知有之
昨廿八日爲立會武昌吉を差遣候處
願人姓名並應答之次第
別記の通に有之候條
免状御授與相成可然存候有
右衛第六百八十四號御達に基き此段及開申候也  p44

昭和十二年三月二十八日印刷
昭和十二年三月三十日發行
著作者 内務省東京衞生試驗所
印刷者 小西嘉三郎
    東京市京橋區八丁堀四丁目五番地
印刷所 合名會社 不二印刷社
    東京市京橋區八丁堀四丁目五番地
http://www.nihs.go.jp/library/enkakushi/050enkakushi.pdf

『くすりの社会誌:人物と時事で読む33話』
著者:西川隆
わが国薬学の基礎をつくった
オランダ人薬剤師ゲールツ
―司薬場の創設と日本薬局方の起草に尽力― p17-24
―略―
京都に東京、大阪が加わって3府で
薬舗主試験が行われるようになったのは、
明治23年(1980)からである。 p20

【明治二十二年法律十号私解】明治23年2月再版
著者 武昌吉
   東京府士族
   東京市下谷區北稻荷町四十一番地
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/797157

【 】『国立国会図書館デジタルコレクション』