[歐洲通用金相場]慶應4年6月
【新聞集成明治編年史. 第一卷】

【新聞集成明治編年史. 第一卷】昭和9年12月2日発行
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慶應四年六月(皇紀二五二八 西暦一八六八)

[歐洲通用金相場] p97/295
〔六・ 、日々新聞〕 ※慶応4年6月(1868年7月20日)

[歐羅巴諸州通用金相場の事]

英吉利の通用金「ポンド」といへる金錢を
二十に分たる銀錢「シルリング」といふ
一「シルリング」を十二に分たる
銅錢を「ペンス」といふ。
(この銅錢を一文?ふ時は?國の言葉にて「ペニ」といふ)
即ち一「ポンド」は二百四十「ペンス」なり。

「メキシコドルラク」を以て
「ポンド」の手形を買ふには、
固より時の相場次第なれども、
大抵
一「ドルラク」につき五十二三「ペンス」
即ち
一「ポンド」は凡
四「ドルラル」半にあたる。

「ドルラル」の相場を日本の金三歩とすれば、
一「ポンド」は金三兩一歩二朱許に當る。

亜米利加の「ドルラル」は
「メキシコドルラル」よりも少し輕し。
大抵
百「ドルラル」につき六七「ドルラル」の差あり。

佛蘭西の通用金は「フランク」といふ銀錢にて、
大抵
五「フランク」半は
一「ドルラル」と釣合相場なり
此「フランク」二十枚に當る金錢あり、
十年許以前の新吹にて金錢の表に
今の佛蘭西帝「ナポレオン」の面の像あるゆへに
歐羅巴にて此金錢に異名をつけ
「ナポレオン」と云ふ。

一「ナポレオン」は日本の二兩三歩許にあたる。

西洋諸國にては餘り
「メキシコドルラル」を通用せざれども、
印度海の港幷に上海香港邊にては
專ら此「ドルラル」をのみ用るゆへ、
日本より外國へ渡海する時は、
船中の小遣錢は「メキシコドルラル」を正金にして持參すべし。
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