[横濱:レンクルホールド]
【スポーツ生活六十年】昭和18年

【スポーツ生活六十年】昭和18年7月20日発行
 著 者  平沼亮三

アイスホッケーの皮切り  p70-71/199

アイスホッケーも自分達がやつたのが初めだと思ふ。
スティックも何もないから、
大工さんが使ふ手斧の柄、
あれを荒物屋から買つて行つて、

球も今使ふパックといふやうなものはないので、
ベースボールの球の古いの、
これを持つて行つた。

そのうちに本物はかういふものだといふことが解つて、
木で作りそれを黒く塗つて使つた。

ゴールキーパーのネットなどもない。
ただ枠を張つて眞中に板が張つてあつて、
その板に鈴がつけてある。
ボールが入ると、
リーンと鈴が鳴る仕掛けだ、

當時、
横濱にレンクルホールドといふ
非常に贅澤な百貨店があつたが、
これはデパートメントストアの最初であらう。

そこに陸上のホッケーのスティックが澤山あつて、
それを買つて諏訪湖へ持つて行つた。

そのスティックを手に入れたいきさつが面白い。
その店が整理の賣出し見たいなことをやつたときに、
これを一打、一束にして賣つてゐた。

たしか藤原銀次郎さんだと覺えてゐるが
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1125807/70
それを見て、
一本の値段を一打と間違へて、
これは安いと注文した。

さて、
届けられたのを見ると
高價なので困つてゐるといふことを耳にして
「それだは此方へ貰ひませう」
と全部引受けた。

冬になるのを待ちかねて持つて行つたが、
陸上用のスティックであるから、
今度は兎に角本格である。
しかし、
今のやうなものではなかつた。

仕度は此方がいゝが、
土地の子供とやると敵はなかつた。

下駄を履いてやつてゐるけれども、
素晴らしく素速つこい。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1125807/71

昭和十八年七月十二日初版印刷
(五〇〇〇部)
昭和十八年七月二十日初版發行
停   定 價 二圓 六十錢
  特別行爲税相當額 十五錢
  合 計   二圓七十五錢
(出文協承認)
(あ400836號)
著 者  平沼亮三
發行者  新關庄藏
     慶應出版社
     東京都芝區三田二丁目一番地
印刷者  白井赫太郎
     東京都神田區錦町三丁目十一番地
     (東東 四一番)
     精興社印刷
發行所  慶應出版社
     電話 三田(45)二七九一番
     振替 東京 一五八一八〇番
會員番號 一〇九五一二
配給元  日本出版配給株式會社
     東京都神田區淡路町二丁目九番地
(田中製本)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1125807/198

【 】『国立国会図書館デジタルコレクション』
 


[小川清久:福徳相互銀行アイスホッケー部]
http://blog.livedoor.jp/kazuo1947/archives/2236666.html