[勞働者指紋管理法案]
【満洲労働統制方策】昭和11年

【満洲労働統制方策】昭和11年
 極秘 滿洲勞働統制方策
 南滿洲鐵道株式會社 經濟調査會
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1903260/1
三 勞働者指紋管理法案  p16/86
     昭和九年四月
      經濟調査會
   目的
第一 本法案は勞働統制の重要項目たる
   (一)必要以上の勞働者の入國を制限すると共に
   (二)勞働者の國民的統制方策實行の萬全を期し
      以て勞働統制の實を擧げしめむとするにあり
   效果
第二 全滿勞働者に對し指紋管理を行ふ結果は
   次に記す直接及間接的效果を具現するものなり
  一 直接效果
    イ 全滿勞働者の分布類竝勞働移動狀態を
      正確且迅速に知り得るを以て
      全産業部門に亘り
      必要勞働者數の算定を容易ならしむ
    ロ 勞働者の僞名、變名を取締り得
    ハ 反國家分子の入國を阻止し、
      不良分子の檢擧を容易ならしむ
    ニ 善良なる勞働者を徹底的に保護することを得
    ホ 盗募の弊を一掃せしむことを得
  二 間接效果
    イ 居住證明を爲し得るを以て
      國籍法實施の大なる效果あり
    ロ 勞働者の地方的竝季節的移動狀態の
      統計的研究を可能ならしむ
    ハ 不良分子の誤採用を防止し得
    ニ 犯意を抑制せしめ得
第三 本法を實施する爲に左の有形及無形の設備を爲す
  一 有形設備
    イ 中央指紋總局 設備箇所 新京
    ロ 指紋管理局  設備箇所 大連、營口、安東、山海關、奉天、
                  哈爾濱、吉林、赤峰、斉斉哈爾
    ハ 分局     必要なる地方各所
      當分の間(イ)(ロ)及(ハ)の事務所は特に新設せず、
      成可く警察廰舎其の他既設廰舎を共同利用する
      局員は技術員、書記等は專任者を任命するも、
      局長等は警察廰長をして兼務せしむ
    ニ 器具 戸棚、鑑定器具、寫眞機、一般事務用器具
    ホ 文具 指紋原紙、其の他
  二 無形設備
    指紋管理法案
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1903260/16
    指紋管理法案  p17/86
   (新規採用の場合)
第一條 滿洲に於ける諸企業の經營主は
    左記に依り雇傭勞働者の指紋登録を爲すべし
    本法施行前より繼續雇傭する常傭勞働者に對しては
    本法施行の日より三箇月以内
    臨時雇傭勞働者に對しては十日以内に登録を爲すべし
    本法施行後新規採用する場合は其の都度登録を爲すべし
   (勞働許可證)
    ―略―
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1903260/17

【 】『国立国会図書館デジタルコレクション』