【法廷証第395号: 北支ニ於ケル日本ノ麻酔政策/
財務官M・R・ニコルソン(上海)】
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上 海、 昭和十一年七月三十日
ワシントンD・C税務部
税 關 長 殿
拜啓 情報局、其ノ他關係部ノ情報トシテ
「北支ニ於ケル日本ノ麻醉政策」ト題スル報告書寫茲許
同封申上候
敬具
財務官 M・R・ニコルソン
同封物件 一、
〔画像〕p1【法廷証第395号】
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北支ニ於ケル日本ノ麻醉政策
塘沽條約ノ締結並ニ非武装地帶ノ確立後
支那政府ハ權力ニ依リ麻藥取引ヲ抑制スルコトガ出來ナクナリ、
全河北省ハ日本人ニ北支ニ於ケル彼等ノ麻醉政策ヲ
遂行スルカ儘ニ委ネラレタ。
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河北ノ農民人口ハ總計二七、〇〇〇、〇〇〇人ト見ラレ
内 五、〇〇〇、〇〇〇人ハ、麻醉藥常用者ト推定サレテ居ル。
唐山、石家莊、淸苑、新域、泊鎭、固安、永淸等ニ於テハ
他地方ニ比シ殊ニ多量ノ麻醉藥取引ガ行ハレテヰル。
五月中ニハ七十名以上ノ麻藥商ガ死刑ニ處セラレタ。
北平ニ於テハ一月ヨリ四月ニ至ル四ケ月間ニ
高性能麻醉藥ガ七百件以上發見セラレテ居ル。
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從來北支ニ於テ賣買サレタル麻醉藥ハ
大部分綏遠及察哈爾ヨリ輸入サレタ。 ※察哈爾（チャハル）
綏遠産ノ麻藥ハ「奨子」ト呼バレ
察哈爾産ノモノハ「比土」ト呼バレル。
最近ハ兩者共、
安價ニシテ高性能ヲ有スル
大連ヨリ輸入サレル麻藥ニ地位ヲ奪ハレタ。
〔画像〕p2【法廷証第395号】
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日本人ハ新域、東鹿、涿縣、及石家莊ニ
大連産麻藥ノ販賣會社ヲ多數設立シ、
朧海鐵道及北平漢口鐵道ニ依リ奥地都市ヘ輸出シテヰル。
價格ハ一兩ニ付二弗五十仙カラ三弗五十仙迄ノ間デアル。
約一百萬兩ガ毎月三百萬弗デ賣買サレテヰルト報告サレテ居ル。
天津ノミデ約三十萬弗ノ「ヘロイン」ガ
毎月奥地都市ヘ輸出サレテヰル。
朝鮮人ノ麻藥製造業者ハ北平ノ殆ド到ル處デ發見セラレ
然カモ特別ノ事情ナキ限リ
支那官憲ノ捜査ハ茲ニ及バナイ。
北平警察ハ其ノ権限ガ極度ニ制限サレ居ルニモ不拘、
三月ニ四件、四月ニ五件ノ麻醉藥ヲ發見シテヰル。
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北平ニ於ケル事態ノ急迫ハ一日ノ中ニ起ツタ
左記事件ニ依ツテモ了解出來ルデアラウ。
（一）貧困ノ爲吸煙ノ余裕ナキ「ヘロイン」常用者ガ
自分ノ妻ヲ妹ニ仕立テ他人ニ媚ヲ賣ラシメタ。
カヽル手段ニ依リ麻藥常用者ハ其ノ妻ガ後ニ結婚シタ、
其ノ他人カラ幾何カノ金ヲ強請シタ。
〔画像〕p3【法廷証第395号】
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結婚後其ノ妻ハ第二ノ夫ガ愛情ヲ持ツテ呉レル
儘ニ眞相ヲ話シタ
其ノ結果訴訟ガ提起サレタ。
（二）昨年逮捕サレ感化院ニ於テ匡正サレタ
「ヘロイン」常用者ガ最近釋放サレ又直グ
麻藥常用者トナツタ。
吸煙資金獲得ノ手段トシテ彼ハ窃盗ヲ働キ再ビ逮捕サレタ。
（三）「ヘロイン」常用ノ人力車夫ガ息子ト娘ヲ二十弗デ賣リ
欲望ヲ滿足サセル金ヲ得タ。
悲嘆ニ暮レタ母親ハ
ソノ悲シミニ直面スルコトガ出來ズ投身シタ。
（四）或男ハ其ノ妻ガ麻醉藥ヲ欲シ其レガ得ラレナカツタ爲
寝床ニ死ンデヰルノヲ發見シタ。
北平ノ町ヲ調ベタトコロガ二十世帶中五家族ノミガ
麻醉常用ノ■■ヲ有セザル者デアツタ。
同ジ街ノ一軒ノ「アパート」ニ居住スル二十人ノ止宿人中
六人ハ麻藥ノ常用者デアツタ。
其ノ中二人ノ不幸ナ者ハ私立大學ノ卒業生デアツタ。
〔画像〕p4【法廷証第395号】
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資料作成年月 1946
レベル 文書名:GHQ/SCAP Records, International Prosecution Section =
連合国最高司令官総司令部国際検察局文書 ;
Entry No.327 Court Exhibits in English and Japanese, IPS, 1945-47
注 記 原所蔵機関: 米国国立公文書館 (RG331)
コレクションタイトル: 日本占領関係資料
コレクションタイトル:
General Headquarters/Supreme Commander for Allied Powers
資料種別 : [マイクロ資料]
原資料の出版事項: ?/?-1946/09
【 】『国立国会図書館デジタルコレクション』
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