日本の華僑【我が民族:天下珍品】昭和15年

【我が民族:天下珍品】昭和15年
  日本の華僑 p70/142
日本の各地には隨所に華僑がゐる。
神戸、大阪、横濱等は、華僑の港であると共に、その集中地點である。
大震災以前には、横濱には六千人以上の華僑がゐた。
神戸、大阪二ケ所の華僑も、六千餘人に及んでゐる。

日本の華僑は、廣州、福建が最も多く、
江蘇、浙江がこれに次ぎ、
山東、奉天方面の出身者も少なくない。

職業方面では、雜貨商が中心であるが、
三刀手工
(卽ち、理髪師—剃刀、裁縫師—はさみ、厨師[りょうりにん]―包丁)
が盛んである。

日本と中國とは、國境が密接してゐるので、
往來に頗る便利である。

又朝鮮も、歷史以來關係が深いので、華僑が多く、
山東人が一番で、廣東人、安徽人、浙江人がこれに次ぐ。
商人よりも勞働者が多く、春來て冬歸るやうな者もゐる。

十七世紀の中葉、明が亡びて以後、
福建人の臺灣に移住する者が激增した。
五十年前の臺灣は、新疆省と共に、
我國民の發展の目的地として重要であつた。

日淸戰爭後日本に割讓されたが、
今日も未だ漢族の風が殘つてゐるのである。

  アメリカの華僑 p70-72/142
   ―略―
 定價 一圓六十錢
(外地定價一圓七十六錢)
昭和十五年一月 十日印刷
昭和十五年一月十五日發行
編 者 井東 憲
發行者 東京市神田區小川町一ノ六
    小野 貞
印刷者 東京市牛込區矢來町三六
    本間十三郎
發行社 東京市神田區小川町一ノ六
    秋豐園出版部
    電話神田三五四四番
    振替東京二五六六九番
    —淸揚社印刷—
【 】『国立国会図書館デジタルコレクション』
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