《手紙》小野十三郎様宛・小野安:
御真情のもとにわざわざ御来訪せされ:昭和37(1962)年12月14日
千葉県柏市柏
緑ヶ丘二二八
小野 十三郎 様
御礼 御□
京都市伏見区
深草正覚町九
小野 安
十二月十四日 后
※消印:37 12 14
〔画像〕封筒:小野十三郎様宛・小野安:12月14日
何時に変らせ給はぬ御真情のもとにわざわざ
御来訪せされ そのうへ何よりの大好物たく出
御恵与下され 誠に誠に有難 うれしう存上げ
一同感謝一ぱいでございます 早速御礼申上度と、
ねんじながら 一まず市村さまの方へ御越し相成
ますよし 拝承いたしましたので もう今日ごろ
御帰宅ならむかと推察いたし 一筆啓上仕ます
鶴の首にておまち申し上た御拝眉の機も あ
まりにも短時間のうちに移り過ぎ せめて
御夕餉でも召上りて頂けば もう少しは御緩と
御話合 かない致しものをと 何とはなしに
御名残りの憾み長きよう感ぜられ
つたなき筆には尽し難く 何ぞ何ぞ またの
御拝顔を(御恵処御揃ひの上致させて)
〔画像〕1-小野十三郎様宛・小野安:12月14日
頂き度と 今よりせつにせつに希上げて居ます
あれもこれもと よもやまの御物語を緩と承り度
又 私よりもと 小さな胸をおどらせながら ま
たたく間に時は流れて了ひ 今以てぽか
んといたして居ます
御老境の御事とて御拝□の上 緩緩と御近
状拝承 夕餉こそ御応はしき御召し上りもの
でも差上げたくねんじながら 何もかもが
空想に ままならぬは うき世のならひとは
かねがね承知いたしながら さて機に想面いたし
ますと 何かしらあきらめ難き心地せられ
あれからボットして居ます いろいろと失礼に
打過ぎ 心なき事のみ 本當に本當に申しわ
けなく めをみはりて居ます
まず御健康にも差したる御障りもなさ
〔画像〕2-小野十三郎様宛・小野安:12月14日
られ給はず 長の御旅路を おひとりにて
おはたし遊され給ひし御事は 何よりの
御幸福と存上げ 心から御祝福申し上ます
くれぐれも御皆々さまへ 一同からあつうあつう
御伝言申出ました 私も精々□と
いたし ひとり旅叶ひうるよう 相成まし
たら ぜひぜひ緩と御顔□させて頂き度 くれぐれも
ねんじてやみませぬ
とも角御礼状を細々拝画させて頂き
まして 狭量は新たなるみ光の渦に
みたされまして しがない我身を□上ながら
自戒自反の もとに残る夢路を
静々とたどらせて頂き 御互さまに
尊き生の営みを大せつに大せつに□寿を
重し 自然の挽歌に葬られ度
〔画像〕3-小野十三郎様宛・小野安:12月14日
老ひたりとも 明日への希望をもり上げ
日々これ好日と 清く明るく生ける
かぎりわかわか□と ねんじ続けて居ます
いろいろと申上度事の瀧の如くこみあげて
参りますれど また后便にと
いよいよ残りすくなきこの年を 一入
御自愛御遊 御一同さま御そろひにて
御多幸な御よすぎをと せつにせつにねんじ上げます
十二月十四日 謹
安 書
十三郎 様 御許
皆々様へあつうあつう御伝へ願上げます
又一 文子 よりもくれぐれもあつう御口上の
ほど懇々中出ました とも角 御礼御わびを
一筆啓上仕ます
〔画像〕4-小野十三郎様宛・小野安:12月14日
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清書:金岡利子様
〔画像〕清書:kt-p1
〔画像〕清書:kt-p2-3
〔画像〕清書:kt-p4
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