大隈侯の西郷從道評「あれは貧乏德利だよ」【大隈侯一言一行】大正11年
【大隈侯一言一行】大正11年
著者の親族方に宿られし際の撮影 p5/294
侯 の 書 (大隈家藏) p8/294
靑年時代の侯の詩書 p9/294
(三二) 侯の西郷從道評 p79-80/294
(大隈重信侯爵)侯の人物評は、侯一流の警抜なところがあつて、味が深い。
侯は、ある時、現代の政治家を評された序に、
西郷從道侯の人物に言及して
「あれは貧乏德利だよ」と唯一言で、其の特色をつくされた。
成程、從道侯は、貧乏德利だ。
と云ふ意味は、從道侯が生前、どの内閣にも列して、
一種の調和劑となり、平生は茫漠として、
要を得ぬが如くであるけれども、
さて從道侯が内閣に居なくては困る。
と云ふ長所があつた。
貧乏德利の功能は、何人も注意しないが、
どこの臺所にもなくてはかなはぬ要具で、
酒も入れることが出來る、
酢も、醬油も入れることが出來ると云ふ具合で、
中々重寶だ。
それで侯は從道侯を「貧乏德利だ」と云はれたのである。
大正十一年二月廿五日印刷 大隈侯一言一行
大正十一年二月廿八日發行 定價金貳圓三十錢
著 者 市島 謙吉
東京市牛込區東五軒町三五
發行者 種村 宗八
東京市牛込區辨天町一五七
印刷者 渡邊八太郎
東京市牛込區榎町七
發行所 早稻田大學出版部
東京市牛込區早稻田
振替東京一一二三番
日淸印刷株式會社印刷
【 】『国立国会図書館デジタルコレクション』
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