小野梓の書簡数通(義真の孫小野鶴太郎氏所蔵)早稲田大学百年史

早稲田大学百年史
一 小野家の系譜
 小野梓は、土佐幡多郡宿毛村(現高知県宿毛市)に生る。
実に嘉永五年(一八五二)で、明治天皇と生誕の年を同じうする。
彼は二月二十日(新暦の三月十日)、
天皇は九月二十二日(新暦の十一月三日)である。

五 希望の新大陸
 名誉教授斎藤一寛が先年発見した小野の書簡数通
(義真の孫小野鶴太郎氏所蔵)の中に、
在米中の明治五年四月四日、
小野桃斎(義真)に宛てて発信したものが一通ある。
その前半は送金の相談であるが、
後半に、
「米洲も無別事、唯殺人之新聞日ニ二ツ三ツ有り、
其風俗ノ悪しき可知。
先日父を傷ケシ賊子アリ、政府唯十五弗ノ償金を出サシメタリ、
米洲之法律も役ニ不立、余ハ御推論致祈。
欧洲も平易ナリ。
伊国ノ共和ハ近々敗ルベシ、墺ノ博覧会ハ盛ナルベシ」云々と、
当時のアメリカおよびヨーロッパの形勢に触れており、
差出人は、"A. Ono / 96, State Street / Brooklyn, L.I. / U. S. A."と、
宿所が明記されてある。
なお、小野は晩年、自己の伝記を著す志を持ち、
その稿本の残欠に次の記事が発見せられる。
小野梓の書簡数通(義真の孫小野鶴太郎氏所蔵)
〔画像〕小野梓の書簡数通(義真の孫小野鶴太郎氏所蔵)
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