《伊賀とら・伊賀おとら》さんの紹介
《下山京子》神戸の料亭「常磐華壇」
【新劇その昔】昭和32年
【新劇その昔】昭和32年
著者 田中栄三 著
出版者 文芸春秋新社
出版年月日 1957
武田、勝見、正邦、住田に
笹本甲午、高山簣一郎、
それに小生と男ばかり七人、
女優はいらないというので、
先方指定の貸席、
新橋倶樂部の二階へずらりと顔を並べた。
世話役と稱する大平野虹氏が、
一人の女性を紹介した。
それは下山京子だつた。
「ゆく水に身をまかせる一葉哉」
という句を賣り物に、
築地に料亭「一葉茶屋」を開いていたが、
長田秋濤、松崎天民などの酒豪に飲み倒されて
忽ち ぽしやつた結果、
器具調度を氣前よく板前や女中にくれてやつて、
いつそのこと女優にでもなつてみようかと、
誘う水もないのに
芝居の方へ身をまかせる氣になつたらしい。
京子はその以前、時事新報の女記者になつて、
化け込みを專門にやつた。
新橋で有名な女髪結、
《伊賀おとら》さんの紹介で、
神戸の料亭「常磐華壇」へ住み込み、
客席に侍して取材活動をやつた。
その暴露記事で京阪神の大實業家が、
片つ端から槍玉に上つた。
京子は時事の社長福澤捨次郎氏に認められて重用された。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2482685/1/81
昭和三十二年十月二十日印刷
昭和三十二年十月三十日発行 定価二九〇円
著作者 田中 榮三
發行者 車谷 弘
印刷者 北川武之輔
發行所 文藝春秋新社
東京都中央區銀座西八ノ四
振替口座東京七八七四三番
印 刷 細川活版社
製 本 福神製本
https://dl.ndl.go.jp/pid/2482685/1/129
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