《中村 税君》(株)小松製作所社長
【昭和人物春秋】昭和13年

【昭和人物春秋】昭和13年
著者    柏村桂谷 著
出版者   極東社出版部
出版年月日 昭和13


 中村 税君  p141-143/229
 株式會社小松製作所社長

現社長中村税氏の事業家的創造力と、
忍耐不屈の奮闘に依るものである。

君は宮城縣の産で、
初め關西學院に學び、
進んで東京高等商業學校に入りて、
明治三十五年之を卒業するや、
日本郵船會社に入り、
精勵恪勤、
やがて其人物手腕を認められて神戸支店、
倫敦支店に勤務して實業家としての
閲歷を築き上げたものである。
後ち辭して
猪苗代水力電氣株式會社に入りて
購買課長の重任に當り、
同社の東京電燈會社に合併さるゝや、
東京電燈の重役となつたが、
其後世界漫遊の途に上りて
歐米各地の事業を視察して歸朝し、
斯くて大正十三年小松製作所に入りて
熱心に同社の爲め
https://dl.ndl.go.jp/pid/1089903/1/141
に盡力して信望の歸する處、
專務取締役に舉げられ、
種々の問題に遭遇して
着々之を解決し、
遂に現時の小松製作所の事業を築き上げて
現に社長となつてゐる。

同社は初め小松を距ること
二里餘の所にありたる
遊泉寺銅山の專屬機械工場として、
遊泉寺銅山の所有者
竹内明太郎氏の經營であつたが、
銅山の廃鑛となるや其の機械工場には
多くの從業者が居たので、
大正十年一月之を獨立の機械工場と爲し、
大正十四年銅山との關係を絶ちて
小松製作所と稱し、
翌十五年第二期の擴張を爲して、
其事業は次第に發展し、
昭和九年第四期の擴張を爲すに及んで、
北陸に於ける重工業界に濶歩し、
ますます盛運を開宏した。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1089903/1/142

斯の如き成功の裏面には
中村社長從來の功績と、
現下の大努力が動いてゐるのである。
斯くて北陸の實業家、
偉大なる工業者としての君の名譽は、
非常時日本の今後の飛躍に伴隨して、
永久に没すべからざるものであらう。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1089903/1/143
昭和十三年七月二十二日印刷
昭和十三年七月三十一日發行
著作兼 柏村 一介
發行人 東京市王子區上十條町九六三
印刷人 高橋 成典
    東京市牛込區河田町一九
印刷所 守田印刷株式會社
    東京市牛込區早稻田鶴巻町四〇五
發行所 極東社出版部
    東京市王子區上十條町九六三
https://dl.ndl.go.jp/pid/1089903/1/228
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