【京都府温泉誌】1985.3
出版者 京都府衛生部薬務課
出版年月日 1985.3
2 桧山鉱泉(仮称) p37-38/98
〇所在地:船井郡瑞穂町桧山
〇環 境:国道9号線と27号線が分岐する
丹波町須知から9号線沿いに西へ約7km走った辺りに、
古くは宿駅として繁栄した瑞穂町の首邑(しゅゆう)、
桧山がある。
本泉は集落に南接する丘陵地を切り拓いたまま
放置されている約30haの宅地造成地の南西端に位置し、
この造成地の最高地点である標高250mの
小山の北東斜面を切り崩した断崖の直下に所在するが、
付近の景観は自然生の松や雑草が
所々に小群落を形成しているほかは、
植生を欠いた裸地で荒涼とした景観を呈している。
本泉には特定の湧出孔がある訳でなく、
湧出地一帯が小規模な湿潤地帯となっており、
地下からの滲出水が凹所に溜まって
いくつもの浅い湧水地を形成している。
〇沿 革:本泉は昭和54年(1979)に、
浅見の同僚である桂京造博士が、
他目的の地質調査の際
偶然発見した硫酸酸性泉で、
以来同僚の高桑進博士を交えて
共同調査、研究を進めている。
本泉は泉質や湧出量からみても、
決して実用性を期待できる湧泉ではないが、
その成因は学術的に興味深いものがあり、
一応鉱泉規格に該当する湧水なので、
ここに紹介しておく次第である。
〇泉 質:昭和56年4月、
浅見が鉱泉中分析法に準じて分析した結果によれば、
本泉はpH:2.4
https://dl.ndl.go.jp/pid/9585682/1/37
の硫酸酸性泉であるが、
前記宮垣鉱泉などの同類泉とは異なり、
溶存物質量は380mg/kgと極めて少ないのが
際立った特長である。
浅見らはその原因を本泉の主成分である
遊離硫酸が地下のごく浅い箇所で生成し、
岩層から酸可溶性物質を溶出する時間的余裕もなく
被圧地下水に伴われて地表へ滲出してしまう
からではないかと推察し、
これを実証するために、
昭和59年(1984)7月、
現地において10mの浅層ボーリングを試みた。
その結果、私たちの推察どおり、
地中から上昇してくる水は全く中性の通常地下水であり、
コア試料の分析結果から硫酸は地表から4m以浅に限り
生成しているものであることを知った。
更に表層及び浅層の岩石試料に限り、
有鞭毛の硫黄細菌が生息していることを
培養試験により確認した。
〇地 質:源泉付近は古生界の海成堆積層で構成されているが、
基盤岩は黒色ないし暗灰色の頁岩を主体とし、
灰褐色のチャートも夾在(きょうざい)しているが、
湧出地にはN85°WとN80°Eの2本の断層が走り、
著しく風化を被った破砕帯を形成している。
更にこの破砕帯域には
パイライト(硫化鉄鉱)の散在が認められる。
このような地質環境下においては、
通気性の良好な地表付近の破砕岩石帯で、
硫黄細菌が硫化鉱物を給源とする好気的代謝の産物として
硫酸を産生する条件は完全に整っており、
その生成機序を他の無機的要因に求めることは
できないと考えられる。
https://dl.ndl.go.jp/pid/9585682/1/38
「京都府温泉誌」
昭和60年(1985)3月
京都府衛生部薬務課
京都市上京区下立売通新町西入
TEL(075)441-8416
https://dl.ndl.go.jp/pid/9585682/1/97
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