【この自由党! 前篇 (民衆なき政治)】昭和27年
著者    板垣進助 著
出版者   理論社
出版年月日 1952
 p3【この自由党! 前篇 (民衆なき政治)】昭和27年
p3【この自由党! 前篇 (民衆なき政治)】昭和27年
https://dl.ndl.go.jp/pid/2982142/1/3
 群がる土建屋
敗戦当時横須賀にあって
一介の運送屋にすぎなかった大隈憲二は、
横須賀鎮守府関係の放出物資をたねに
途方もない大もうけをつかんで
たちまち土建屋隅田組の社長にのしあがり、
三百万円を投じて妾宅をかまえるなど
豪勢な羽振りをみせて
自由党の幹事長 河野一郎とくみ、
四月選挙には自由党から出馬して参議院に当選、
自由党のドル箱となって
一躍党の会計監督の地位についたが、
その翌年、
かれは妾宅の隱匿物資を摘発され、
戦後のどさくさにまぎれた
軍物資の窃盗事件まで、
追及され起訴されるという
たくましい波瀾をみせた。

ちょうどこのころ労働運動を
「不逞の徒」とよんだ
鳩山の後継者 吉田首相が、
昭電疑獄のあと綱紀粛正をとなえて、
再度首相の椅子に座ったとき、
逞しいこの大隈をふたたび
会計監督の地位にすえたのは
「不逞にあらず」の
しゃれからであろうか。
それはともかく、
大隈の会計監督就任は、
戦後のどさくさに立廻った敗戦成金や、
戦後の土建景気をつかんだ土建成金から、
発足当時の自由党が資金を
みつがれた一典例である。

じっさい都市の土建成金の
自由党支持はめざましく、
そのごも自由党はひと口に
土建屋の党とよばれるほど
大小の土建屋から声援をうけ、
土建業出身の議員も
各党をつうじて第一位にあるが、
これは土建屋のもつ組の組織が
仁義と贈賄の荒っぽい封建色にとみ、
自由党の天皇制護持をとなえる性格と
たがいに肌合いがあうからであろう。

鳩山派の柱石 大野伴睦にしても、
その長男と次男がいずれも
土建業にはいっている。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2982142/1/37
この自由党 前篇 民衆なき政治
1952年9月15日 第一刷
1952年9月20日 発 行  定価180円
著 者 板垣 進助
発行者 小宮山量平
印刷者 斎藤 和夫
発行所 株式会社 理論社
    東京都千代田区神田神保町一丁目六四番地
    振替口座東京九五七三六番
日協印刷・橋本製本
https://dl.ndl.go.jp/pid/2982142/1/108
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