【自由民権運動とその発展】昭和52年
著者    平野義太郎 著
出版者   新日本出版社
出版年月日 1977.11(昭和52年)
 家族制度、長男による家督相続廃止論
 民法の改革案
自由民権運動の名だたる指導者たちは、
封建的家族制度および長子による家督相続に対して、
https://dl.ndl.go.jp/pid/12229155/1/116
いずれも批判の矢を向けている。
大井憲太郎・植木枝盛・馬場辰猪、
とくに民法家の小野梓がそうであった。

 小野梓の民法改正論
小野梓は、
その著『羅馬律要』において、
明六社の人びと
(森有礼の妻妾論、福沢諭吉の男女同権論、
 津田真道の廃娼論、植木枝盛の公娼廃止、
 貧農の娘の身売り・前借の廃止)
をひきつぎ、
いっそう熾烈な砲火を浴びせかけ、
これらの男女平等の問題について、
民権運動中の先駆者になった。
さらにこの論旨は、
小野の名著『民法の骨』でくりかえされた。

小野梓は、婚姻は相愛する男女・自由意志の合致、
一夫一婦(妾制度の反対)、
婚姻の公示の原則を立てた。
そしてかれは婚姻年齢の規定の必要を説き、
男二十歳、女十七歳の適齢に達して、
婚姻の契約をなしうべきことを主張した。

「按ずるに、
 アジアの東部には婿を撰び、
 婦を撰ぶの権をもって、
 全く父の手に帰するものあり。
 これ、アジア東部に離婚、
 紛々続き出で、
 甚だしきに至っては、
 相奔情死多からしむる
 ゆえんとする」。

小野梓は、
イギリスのジェレミー・ベンタムの諸法書を
日本に導入した学者(早稲田大学)だったが、
ベンタムはもちろん婚約する各個人の
自立・独立を旨とし、
家族制度に反対し、
したがって相続においても男女の平等、
夫が死亡したとき、
その遺産を半ばは妻にあたえ、
他の半ばは子女間に均分相続させる
諸原則を立てていたのであった。
p117【自由民権運動とその発展】昭和52年
〔画像〕p117【自由民権運動とその発展】昭和52年
https://dl.ndl.go.jp/pid/12229155/1/117
平野義太郎
1897年3月5日生
現在 法学博士、
   フンボルト大学名誉法学博士
   日本平和委員会名誉会長
   国際民主法律家協会副会長
自由民権運動とその発展
1977年11月25日 初版 1800円
著 者 平野義太郎
発行者 松宮 龍起
発行所 株式会社 新日本出版社
    郵便番号112
    東京都文京区大塚3の3の1
    電話 東京(945)8511
    振替番号 東京3-13681
印 刷 亨有堂印刷
製 本 古賀印刷
https://dl.ndl.go.jp/pid/12229155/1/123
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