【和の生涯:故波多野林一会長追懐誌】1963
出版者   郡是製糸
出版年月日 1963
p4【和の生涯:故波多野林一会長追懐誌】1963
〔画像〕p4【和の生涯:故波多野林一会長追懐誌】1963
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  故 波多野取締役会長略歴
前の郡是製絲株式会社取締役会長
故 波多野林一殿は、
明治十九年(1886)十二月十五日、
京都府船井郡三宮村の名門、
山内三郎兵衞二男として同地に生る。
長ずるに及んで、
京都府立第一中学校を経て
早稲田大学商科に学ぶ。
この頃、修学の傍ら、
柔道、短艇に精進して身心の鍛錬に努む。
明治四十三年(1910)同学卒業、
更に研究科に進み、
翌四十四年(1911)七月、
郡是製絲株式会社に入社す。

大正二年(1913)十二月、
羽室嘉右衛門五女すゑ姉と婚姻、
同時に波多野鶴吉翁と夫婦養子縁組をなす。
羽室家はまた翁の生家なり、
氏が名実共に翁の後継として、
爾来、終焉に至る五十年間、
郡是製絲株式会社の経営に献身せられたる機縁は、
これに発す。
https://dl.ndl.go.jp/pid/3036370/1/17
 故 波多野会長の実父
   山内三郎兵衞翁のこと
京都府船井郡三宮村、
信用組合長山内三郎兵衞翁は、
弘化元年十月(1844年11月)三宮村に生れた。
山内家は旧家でもあり、
富豪でもあり代々の人が温厚で篤実で、
旧藩主九鬼家から恩賞を受けて
特別の待遇をうけたくらいで、
郷党の柱石であった。
  <山内三郎兵衞翁>
p28【和の生涯:故波多野林一会長追懐誌】1963
〔画像〕p28【和の生涯:故波多野林一会長追懐誌】1963
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  逸 聞
山内家の一族に、山内要という人があった。※下記
志を立て北海道へ移住することになっていて、
山を売ることになっていた。
(その山は山内久馬家の門の前にそびえている)
そして質志(しずし)の北村という酒屋に買い方を依頼した。
その酒屋は二百五十円という値をつけた。
山内要氏は三百円に売りたかった。
そこで山内久馬氏に交渉してきた。
そのとき三百円で買ってほしいと言った。
山内久馬氏は父(山内三郎兵衞翁)に相談した。
その時翁は「三百六十円で買ってあげよ」
と言われたので、その値で買った。
https://dl.ndl.go.jp/pid/3036370/1/29

下山(しもやま)から三宮へ行く途中に、
水のみ(※水呑)という部落があって、
辻村さんという人がいた。 ※辻村⇒辻原?
信用組合から金を借りていたが
返済が出来ぬので、
山内久馬氏に山を売りに来た。
三百円で。
そこで久馬氏が三郎兵衞翁に相談すると
「六百円で買ってあげよ」
と言われた。
それで、その値で買取られた。

翁は言われた。
『それは神さまが私達に恵んで下さった山であるから、
 できるだけ買ってあげねばならぬ』と。
現在、山内家に残っている山は、
この二つの山であって、
この山によって山内家の経済は立てられている。

後になって、質志の酒屋さんは
「あの山は千円の値うちがある」と言った。
山内三郎兵衞翁もその山の価値をよく知っておられた。
それで三百六十円で買っても損にならぬということを、
よく知っておられた。
しかし、値ぎって買えばそれだけ徳(※得?)だ
というような考えを持っておられなかったのである。

翁は言われた。
『山を売るには、山の木を一本一本はかって、
 そして売るようにしなければならぬ。
 ふところ手で商売をするようでは駄目だ。
 また、自分が精通しておらぬ仕事をしては駄目だ』と。
https://dl.ndl.go.jp/pid/3036370/1/30
「和の生涯」故 波多野林一会長追懐誌
     (非売品)
発 行 昭和三十八年一月七日
発行者 郡是製絲株式会社
    京都府綾部市青野町膳所一番地
印刷所 河北印刷株式会社
https://dl.ndl.go.jp/pid/3036370/1/101
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blog[小野一雄のルーツ]改訂版
2020年06月18日06:55
《山内 要君》京都府下船井郡三ノ宮村出身
【十勝宝盟鑑】大正14年
其後明治四十年(1907)
山内成太郎氏が丹波牧場を經營するに當り
翌年(1908)渡道し太田倉之助氏と共に土地開墾に從事、
側ら牛馬飼育し、
氏と數十年間畜産を改良し
其主力を注ぎ模範牧畜家と唱し牛馬蕃殖に努む、
而して氏は事業熱誠なるを以て意志強硬に収め、
眞に奮闘努力し豫期以上の成功を遂ぐるに至る
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blog[小野一雄のルーツ]改訂版
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