【国民健康保険 17(1)】1966-01
出版者   国民健康保険中央会
出版年月日 1966-01
p1【国民健康保険 17(1)】1966-01
〔画像〕p1【国民健康保険 17(1)】1966-01
https://dl.ndl.go.jp/pid/2693084/1/1

[歴代厚相物語](13)
 二代・政治家の父と子
  林譲治氏(上)
      大野光義

林さん(右)が厚相在任中、
依岡秘書官をしたがえて、
新浜の鴨場に句作を練るひととき。
(昭和24年11月写)
p18【国民健康保険 17(1)】1966-01
〔画像〕p18【国民健康保険 17(1)】1966-01
https://dl.ndl.go.jp/pid/2693084/1/18

この小野梓は、
大隈のチエ袋として活躍したもので、
当時の大隈の文章や演説にせよ、又、
大隈の口からホトバシルように出てくる名文句は、
殆どすべてが梓の草稿によったもの、
とつたえられている。

その重厚味ある美文は、
戦前の「教育勅語」の文章が、
井上毅によって草案されたのは、
有名な話だが……
この小野梓の名文は、
よくそれに比べられて、
当時の世の人びとからは、
——
朝に井上毅あり、
野に小野梓あり。」と、
うたわれるように
讃嘆の声が放たれたものだった。

  blog[小野一雄のルーツ]改訂版
  2022年03月21日05:30
  《小野 梓》總理大臣を夢みる
  【日本英雄伝. 第2巻】昭和11年
  大隈の唇から響く文辭は殆んど
  梓の草稿によるものと云つても過言ではない。
  壯重華麗な彼の文章は
  敎育勅語の草案に關係した井上毅と並んで
  『朝に井上毅あり、野に小野梓あり。』
  と賛嘆された。

高田早苗は、梓のことを、
——小野梓は政治家というよりも学者肌の人、
又精神的な人であった。」と評している。
明治十九年の一月、
この“天才学者”は天寿にめぐまれず、
遂に三十五歳の若死であった。
併し、この若さの中から、
①羅馬律要(明治九年)
②国憲汎論(明治一五年)
③民法の骨(明治一七年)
④東洋論策(明治一八年)
⑤東洋遺稿(上・下=明治二〇年)
等の傑れた学問上の業績を遺した。
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——実にこのように……
小野梓の天才ぶりは、
その政治活動と、
学問の領域の恰で両天秤を占めたも同様であった。

併し不運に、梓は肺を患っていた。
これはおそらく、
明治四年(明治五年)に英米に留学した頃の、
その烈しい一途な勉強がたたったせいであろう。
それは、アメリカの民主政治や、
英国の議会政治に感奮をふかく身におぼえながら、
その当時、英国の倫理学者として著名な
ベンサムの「実利主義」を学んで日本に帰ったのは、
小野が、ちょうど二十三歳の時であった。

この時、世相はあげて日本の津々浦々にいたるまで、
板垣退助が中心となった
自由民権運動の声はかまびすしかった。

——小野梓にとってこの新時代精神と、
その海外留学中の学殖との結晶から生み出された
学問的所産が、
即ち――
世に目ざましい「国憲汎論」であった。
これは明治十五年、
小野の死の四年まえに辛っと完成されたが、
その草稿は恰で“黒班紙”のごとく
推敲のあとだらけであったといわれている。

小野梓は、明治十八年の師走には、
いよいよ肺患がこうじて来て……
気息奄々として、もう!
毎日の命とともに書いていた日記さえも掌に取れず、
床の上に横臥した儘になっていた。
それは十二月の二十二日の事であった。
——突然!
新聞号外の鈴の音が、鳴り響いて……
この梓が“生地獄”の世界の中に彷徨してる
むくろの頭上を、
かまびしくかすめて行った。
嗚呼!
まさにそれは、
日本で初めて「内閣制」が布かれた
驚天・動地にもひとしい、
ニュースがつたえられたのであった。
そうして、
伊藤博文が初代の総理大臣である。
この未曽有の大改革は、
年来、梓が「国憲汎論」の中で唱えた、
その学説とはほぼ一致した結果となった。
梓は心に満足をおぼえた。
かくて、天才小野は、
一ヵ月余りの後、
政治家として、学者として、
新しい時代の先見の明をば著作に遺しつつ
不帰の客となったのである。

機関誌 国民健康保険 一月号
 (第十七巻第一号)
昭和四十一年一月一日発行
編 集 厚生省保険局国民健康保険課
発行人 有田栄一
発行所 国民健康保険調査会
    東京都千代田区霞ケ関二ノ一
    厚生省保険局内
    振替東京三二四四三番
印刷所 弘済印刷株式会社
    東京都台東区上野山下町二
https://dl.ndl.go.jp/pid/2693084/1/19
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