【日本美術工芸 (248)】1959-05
著者 日本美術工芸社 [編]
出版者 日本美術工芸社
出版年月日 1959-05
https://dl.ndl.go.jp/pid/2281459/1/7
愛藏辯あり 七〇 p20-23/46
上田堪一郎氏
邑木千以
東山三十六峰が綠にけぶる春の雨。
京の名刹南禪寺へ向う道を少し手前で、
同行の人達と車を降りる。
道からやや入った所に古格ゆかしい御門があり、
白川砂で化粧された長い露地がお玄關へと續いていて
「濡れて行こう」と氣取りたくなるような朝の風情である。
式臺の付いたお玄關の上に「順正書院」、
その奥には「順正黌」という古い額が上っている。
「賴もう」とおとなうまでもなく、
御主人と奥樣がお迎え下さって、
それぞれに久闊を叙したり、
初對面の挨拶を交わしたりして奥へ通る。
「なんや、もう行届かんことで」と
奥樣に招じられた應接間は、
これはまた御主人に似て雄大な構え、
正面と右手の障子が取り拂われていて、
先ず綠の庭がパッと眼に來る。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2281459/1/20
Y「今度、上田さんは四月の好日會大會に
北鎌倉へ遠征されるそうですが、
皇太子さま御成婚の月で
いろいろ御趣向もおありでしょうね。
殊にこちらの西陣の大洋織物會社を經營せられ、
美智子さんのお支度の御下命もあったと
伺っておりますから、
大いにお祝いをしなければ
ならないわけですね」
https://dl.ndl.go.jp/pid/2281459/1/21
太子屋井戸茶盌
https://dl.ndl.go.jp/pid/2281459/1/22
もう、ボツボツお頭に白いものが見えるようだが、
まだまだ前途有爲な壯年實業家として
活躍される上田さんは、
先頃御本業に關係のある服飾美術視察のため渡佛され、
昨秋花のパリから歸られたばかり。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2281459/1/23
『日本美術工藝』五月號
毎月一回 一日發行
昭和三十四年四月二十五日 印刷
昭和三十四年五月 一 日 發行
定價一〇〇圓
日本美術工藝編集室
池田市建石町一九六五
逸翁美術館内
電話 池田三八六五・四三五八
編集發行人 加藤義一郎
大阪市北区梅田 阪急百貨店六階
發行所 日本美術工藝社
電話 阪急百貨店内 三六二
振替 大阪一〇七三五六
会員番号 一二五五九一
東京都品川区鎧町三四七一
阪急百貨店 大井店内
日本美術工藝東京支社
電話 大森三一六一~九番
印刷人 鈴木直樹
京都市中京区壬生花井町三
印刷所 日本寫眞印刷株式會社
https://dl.ndl.go.jp/pid/2281459/1/40
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