【流転の青春:中国人民解放戦争従軍記】1986
著者    横山甲子蔵 著
出版者   [横山甲子蔵]
出版年月日 1986.4
p1【流転の青春:中国人民解放戦争従軍記】1986
〔画像〕p1【流転の青春:中国人民解放戦争従軍記】1986
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   序 文
  足立道五郎
「流転の青春」に呈して。
永年、心の底から言いたかったことを、
文章の形であらわすことは、
文筆家でない素人にとって、
並大抵の苦労では出来ないことですが、
これを著書として作成し
世に問うことは人間として
非常に大きな喜びであろうと思います。
昔風に表現すれば男子の本懐と言えましょう。

横山甲子蔵さんは
一九四一年(昭和16)から中国大陸にわたり、
満州開拓青年義勇隊、日本陸軍、及び
中国人民解放軍に於て、
幾多の辛酸をなめながら、
十七才から二十九才までの全青春を費やしました。

その間の波瀾にみちた経過を、
可能な限り詳細に事実調査し又
文献資料をあつめた結果にもとづいて
客観的に書きつづり、
己に失われた青春の日々が自身にとって又
その仲間の人達にとって、
どのような意義をもっていたのかを
見つめようとしています。

私共、同じ集団の帰還者達が、
これまで書き残さねばと思いながら
残し得なかったものを、
彼は五年の歳月と努力と忍耐とをもって
見事成就して下さいました。

心から感謝の意を表したいと存じます。

私共、所謂戦中派の育った環境は、
所謂半封建的資本主義社会で、
受けた教育はその基本が教育勅語にありました。

忠孝が道徳の根本であり、
日本民族は優秀民族で
他の民族の上位に君臨すべきものと
信じて居ましたが、
突如敗戦を迎えたのでした。

私自身、一九四六年(昭和21)には
牡丹江捕虜収容所内の病院で診療していて
解放軍の管轄下に入りましたが、
代表して帰国要求を執拗にしたり、
日本人の逃亡者を手助けしたりして、
「狭隘な民族観念」を持つ
注意人物としてマークされていた様ですが、
解放軍は気長に自覚を持ったものと推測されます。

そして私は漸次解放軍内の民主的管理や、
あくまで人民の利益を守る軍規律の厳しさに感銘し、
その后彼等の情勢判断が的確で、
全国解放の事業が着々と進展してゆく
現実を見せつけられて、
自分のしている医療の仕事に、
単なるヒューマニズム以上の意義を認めざるを
得なくなったのでした。

終戦后四十一年の年月が経ちました。
中国もその后、
文化大革命と称する国を挙げての
誤った路線を漸く克服して、
新たな方向を求めながら進んでいます。

一方経済大国になった日本の中には、
私共の命と青春を代償に得た
「戦争を憎み平和を求める」
という尊い教訓が踏みにじられて、
再び「力こそ正義」とか
「祖国を守るため、
 愛する人の為に戦争に出かける」
等の言葉が語られ、
一部の政治家によって
その準備が始められていることに
大きな危惧を感じます。

私共は戦争をどの様な人達が
どのような理由をつけて起させるかを
身をもって体験して参りました。
「日中不再戦」
これが両国民の共通の願であり
目標であるべきだと思う次第です。
  昭和六十一年(1986)二月
p7【流転の青春:中国人民解放戦争従軍記】1986
〔画像〕p7【流転の青春:中国人民解放戦争従軍記】1986
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流転の青春 横山甲子蔵著
頒 価 4,000円
「流転の青春」
 中国人民解放戦争従軍記
1986年3月30日 印刷
1986年4月15日 発行
著 者 横山甲子蔵
〒399  長野県松本市芳川小屋256-9
    TEL 0263-58-9203
印刷所 中信凸版印刷株式会社
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