【真相 3(7)(19)】1948-06
出版者 鶚出版
出版年月日 1948-06
https://dl.ndl.go.jp/pid/3555910/1/1
宮様商賣一ヵ年を探る
かれらは何をしているか?
https://dl.ndl.go.jp/pid/3555910/1/4
(第五幕)外國映畫特別試寫會の段
話が貧乏じみてきたから景氣つけに
毎月開かれている元皇族の親睦會に場面を轉換しよう。
同じ竹の園生の元皇族が、
ややもすれば疎遠になりがちなので、
いく久しく相たずさえて、という趣旨で、
月一回、
宮内府管理の常磐松の元東伏見邸で
パーテイーを開くほか
田村町の兼坂ビルのセントラルで
外國映畫の試寫會がおこなわれている。
梨本さんなど「バカなことをしよる」
と一向にでかけないらしいが、
他は出席率良好。
この試寫會など特にとりたてて
いうほどのことではないが、
總じて元皇族がいまだにあまりにも
特別扱いされすぎてはいないだろうか。
家族の使う「お上」だとか、
「殿下」だとか、敬稱や
「おタタさまがお成りあそばした」の
「君サマにおかれましては」
という用語などは、
永年の習慣だし
いずれ淸算されようから大目にみるとしても、
妃殿下がマーケットに買物に出かけられる
おいたわしさに涙し、
若宮樣の都電通學に、
おそれ多いと感激するのは封建思想の標本だ。
大體一時金の問題にしてからが
あんなものを出して
「皇族の品位」を得たしめよう
とすること自體が奇怪千萬で、
ましておのがどん底のタマネギ生活を忘れて、
元宮樣の寶石類を御處分あそばしての
いまだ名ばかりのタケノコ生活に
御同情の涙禁じあえずとしたら、
これはコッケイである。
さて商賣往來にもどつて、
日本橋は室町、三越のほど近く
三都和會館の三都和商會。
進駐軍向けの建築金物專門で、
モーターの修理などもやる
この社長は、
元陸軍少將閑院春仁氏。
小田原に道子夫人(伏見朝子の妹)と二人で住まう、
閑院さんは、月、水、金に出社、
金曜日にはエビス驛近く
モーター修理工場に監督に出かける。
もとこの商會は宮下武男なる男の所有にかかり、
昭和十六年ごろから鐵カブトの
全國的な配給をやつていた會社で、
元來が宮樣びいきの彼は
侍從武官を仲介に閑院を知つてから、
昨年皇籍離脱と同時に閑院を社長にすえて、
また三都和クラブを新設し、
職業の補導から値下げ運動の促進、
結婚相談所(無料)まで
やつてのけている。
閑院はほかに
神戸觀光株式會社の會長もやつているが
(二月に一回出社)、
三都和におけるサラリーは
名目上七千五百圓となつているが、
使用人十人をかかえての、
閑院の月六、七萬圓の生活費の保證は一應
宮下があたえているようで
(もつとも一時金の食いつぶしもやつているらしいが)、
「宮樣をお守りするのがわれわれ國民の義務」であり、
「生活は全部保證しましよう」、
そのかわり「品位は保つていただきたい」
というのが宮下の言い分。
ちなみにこの男は、
戰時中もうけた金で、
陸、海軍にそれぞれ飛行機を一臺づつ
献納したという奇特な士で、
本人が得意氣に語るところによれば、
つとに廣く
「國家主義者」たることを見こまれていた由。
なおここの約十五人の職員中宮家關係が三人、
元軍人が三人ばかりいる。
敗戰後いち早く、職業が必要だ、といい出した、
軍隊生活の經驗から
警視廰に自動車運轉免許證の下附を申請した、
賀陽恒憲氏の意氣たるや買うべきものがあつた。
がその後積極的な動きは見られず、
諸種社會事業に名譽職として關係するほか、
田村町の門司竹材貿易株式會社の
顧問といつた程度のもの。
京大在學中の長男邦壽君をかしらに
男ばかり六人の子福者で、
生計も大變のようだが、
時價四〇萬圓位のダッジを持ち、
一月に大きな自動車小屋をつくつたところをみると、
案外なのかもしれない。
麴町の本部を燒いて、
現在は下落合の廣池千英氏
(外事專門學校長)邸の母屋に寓居。
野球は相變らずのファンで、
度々の觀戰ばかりでなく、
一族郎黨に早稻田の岡本などをまじえて、
他流試合にも出かけるほどの元氣である。
財政の相談には幼友達で
日銀監事の小山直彦が當つている。
(終 幕)オテンバ女史 桃山佳子 活躍の段
https://dl.ndl.go.jp/pid/3555910/1/5
一九四八年六月一日 發行
眞相(第三巻第七號 通巻第十九號)
定價 三十圓
送料 一圓
半年概算 百八十圓
編集 發行人 佐和慶太郎
印刷所 日本印刷工業株式會社
發行所 人民社
東京都中央區銀座西二ノ三
電話 京橋(56)〇四六四番
振替 東京一一五二一一番
https://dl.ndl.go.jp/pid/3555910/1/20
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