[台湾の歴史]許文龍〔3/3〕平成6年(1994)

  [台湾の歴史] 許文龍
[台湾の歴史]32-33
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[台湾の歴史]34-35
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[台湾の歴史]36-37
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[台湾の歴史]38-39
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 ―略―
今日は「奇美の歴史」を語るのに
「台湾の歴史」に話がそれたが
台湾の基礎は殆ど日本統治時代に建設したもので、
我々はその上に追加建設したと言ってもよい。
当時の日本人に感謝し、
彼等を公平に認識すべきである。
台湾の「二、二八事件」の死者の名誉回復をする如く、
日本統治時代の様々な施政についても
頭から日本が悪いと否定するのではなく、
改めて正しい評価をすべきと思う。
又、この機会に中国人と同民族である
台湾人に対する統治についても回顧反省し、
公平に評価すべきである。

台湾人民が比較的自由に言論発表が出来るようになったのは、
李登輝総統時代になってからである。
過去今日の如き話しをすれば、
調査局が必ず私を召還調査するだろう。
李総統が我社を幾度も訪問したから
ほめるのではなく、
歴代の総統で彼が最も言論の自由を尊重した。
彼は私利私欲の無い人で、
台湾を民主法治の国家に建設しようと革新を進めている。
私は台湾の将来については楽観的である。

多数の台湾人がグリーカード(米国永住権)を持っているが
私はすこしも興味がない。
なぜならば台湾は非常に安全である。
最近の改革で軍人の勢力は後退し
政情も正常化しつつある。
将来の歴史家は私のこの見解を証明して呉れるだろう。
私は諸君が歴史に興味を持つ様希望する。

歴史は非常に興味深い物で、
見る角度に依って異なる叙景が出来る。
或る歴史家が曽つて言った様に、
そこに在る三本の樹木が、
見る角度に依っては一本に見えたり、
或いは三本に見えたりする。
歴史とはこの様なものだ。
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《奇美実業、董事長、許文龍》
*総統府国策顧問:講演会・平成10年
当日配られた資料を送付します。
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