「ノーベル経済学賞」(注1)③
[最適操業計画]別府祐弘:4/4
[最適操業計画]別府祐弘:4/4
要 約 p327
本節においてわれわれは、
現代生産理論に立脚した最適操業計画編成の問題を検討してきた.
この現代的な方法は、その多様な問題設定と計画計算手続によって、
現代企業の経営者の意思決定にたいして、
伝統的生産理論よりはるかにすぐれた基礎を提供する.
それには、せんじつめれば、つぎの2つの根拠がある.
(イ)この現代的方法は、
これまでの抽象的な生産関数のなかに埋没していた、
技術的・経済的なあらゆる詳細な理論体系のなかに持ち込んでくる.
これまでの抽象的な生産関数のなかに埋没していた、
技術的・経済的なあらゆる詳細な理論体系のなかに持ち込んでくる.
(ロ)この現代的方法は、
経営のあらゆる相互依存関係を正確に顧慮することができる.
第1番目の特徴は、現代生産理論を、伝統的生産理論から峻別するものであり、
2番目の特徴は、これまでの経営実践において慣行的に用いられていた手法に
比べてとくにいえることである.
けれども本節で展開されたような、現代生産理論に立脚した最適操業計画は、
経営経済学ではまだなお未開拓の新分野である.
そして実践的な適用の面でも、限界計画原価計算を実施している企業では、
その計画編成に必要な資料が一応ととのうであるが、
製品の品種が比較的少ないばあいでも、
この最適操業計画を編成するのに要する計算作業が
きわめて大きなものとなってしまう欠陥がある.
しかし、コンピュータの開発が急激におしすすめられ、
その普及が広範囲に及んできている昨今のわが国企業では、
この計算作業上の障害は、もはや副次
的意味しかもたなくなっているのが現状であろう.
したがって多くの企業が、この現代的方法を用いることによって、
その経営政策上の成果を十二分に享受できるように、
現代生産理論をより体系化し、整備し、
また最適操業計画の計画計算項目に改良を加えることは、
現代の経営計画に課せられたもっとも重要な課題の1つであると思われる.
【主要参考文献】 p328
昭和44年7月15日 初版発行 略称―現代計画
現代計画
編 者 © 古川栄一
発行者 同文舘出版株式会社
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「ノーベル経済学賞」(注1)③補
別府祐弘
PDF:「ノーベル経済学賞」(注1)④補-別府祐弘
※追記:令和4年(2022)5月8日11:25 小野一雄
〔画像〕利益計算制度と利益計画設定の手法 p160-161
〔画像〕利益計算制度と利益計画設定の手法 p162-163
利益計画設定の手法
〔画像〕利益計算制度と利益計画設定の手法 p168-169
編者紹介
古川栄一
明治37年 新潟県に生る
昭和 4年 東京商科大学卒業
昭和 5年 山口高等商業学校教授
昭和 6年 東京商科大学助教授
昭和23年 東京商科大学教授、学制改革により
一橋大学教授、現在に至る
経営学の解明 第1巻(企業成長と経営政策)
昭和40年10月25日 初版第1冊印刷
昭和40年10月30日 初版第1冊発行
編 者 古川栄一
発行所 株式会社 有斐閣
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