西山幸輝 壮士肌の黒幕的行動派⑨あとがき・奥付
[日本の右翼]猪野健治著 昭和48年
[日本の右翼]猪野健治著 昭和48年
日本の右翼 その系譜と展望 猪野健治
日新報道出版部
西山幸輝
壮士肌の黒幕的行動派 p118-134
あとがき p370-372
本書にまとめた右翼人の素描は、
昭和四十五年から四十六年にかけて
「問題小説」(徳間書店)に「壮士列伝」として
連載したものが中心になっている。
その他の雑誌に発表したものは、
その稿の末尾に明記してある。
書き足りない部分や読みかえしてみて、
間違いに気づいた部分については、
全面的に書き改めた。
左右激突の危機といわれた七〇年(昭和45年)から、
すでに三年が過ぎ去ろうとしている。
この間には、三浦義一、福田素顕、佐郷屋嘉昭といった
右翼の巨頭があいついで逝った。
笹川良一も「直接的反共活動」から身を退くことを宣言した。
右翼団体は、左翼のように理論によってではなく、
人間関係によってまとまる傾向が強い。
したがって指導者の人柄によって、
運動の盛衰は大きく左右される。
これからの右翼運動は、
指導層の新旧交替の進行のなかで、
展開されていくことになる。
全愛会議は、先ごろ開いた京都大会で
「一発の銃声は百万の力にまさる」
というスローガンをかかげた。
いうまでもなく「一発の銃声」とは、
二・二六事件をさしている。
その底流には「クーデター指向」が見られるが、
現憲法のもとで育った若者たちに、
その意味が理解できるかどうかは大いに疑問である。
没理論的な一揆主義は、危険である前に、
理論を尊重する若者たちには受け入れられない。
いまの若者――とくに学生の多くは、
「右翼」のラベルを貼られることさえも本能的に嫌がる。
「右翼」という二字に時代がかった
アナクロニズムを感じとるのである。
現実に右派系の学生団体のなかには、
「反右翼」を標榜するものもあり、
既成右翼に根深い不信感と警戒心を抱いている。
そして、その姿勢こそ
「民族派学生運動の出発点にすべきだ」
という声もある。
筆者は、ある人に
「いったい右翼は政権をとった場合を想定しての
政策をもっているのか」ときかれて、
説明のしようがなく困ったことがある。
「じゃ、経済政策なり公害対策は」という。
これも、スローガン的にかかげている団体が若干あるていどで、
それを体系的に行動理論としている団体はない。
評論家の堀幸雄氏は、筆者に、
「戦後の右翼運動は体制従属の反共活動として推移してきた。
だから、右翼に政策がないというのはあたらない。
政策なんか必要なかったのだ。
戦後の右翼運動に対権力闘争というものが見られないことが、
なによりもそれをものがたっている」と、
指摘したことがあるが、
これに反論する材料はいまもない。
かつて北一輝や内田良平、宮崎滔天は、
貧困の極にありながらも、
朝鮮では東学党を助け、
孫文を助けて中国革命に情熱を燃やした。
たとえ、それが日本帝国主義のアジア侵略に
結果的に短絡されたとしても、
少なくともそのことに生死を賭けてたたかった。
しかるに戦後の右翼(はベトナム、ラオス問題一つをとっても、)
(しかるに戦後の右翼)
はベトナム、ラオス問題一つをとっても、
「共産勢力の浸透」をいうだけで、
主体性のある主張というものがまるでない。
要するにアメリカの政策を是認し、支持するだけだ。
これでは、若者の支持が得られないのは当然である。
今後、右翼運動はどのような変貌を遂げていくか。
戦前の右翼運動とは、どのようなものであったのか。
その問いに若干なりとも答えるべく
「解説・右翼運動の軌跡と展望」を付した。
率直なご批判をいただければ幸甚である。
母の初盆の日に 著者
著者略歴
猪野健治
1933年(昭和8年)滋賀県に生まれる。
新聞記者・雑誌記者・週刊誌記者等を経て、
1962年以降フリーとなる。
著書に『親分』『全学連各派』(双葉社)、
『児玉誉士夫の虚像と実像』(創魂出版)、
『民衆宗教の実像』(月刊ペン社)、
『電通公害論』『天下り官僚』『買占め黒書』(日新報道)、
『やくざと日本人』(三笠書房)ほか多数。
現住所・埼玉県春日部市大枝89
武里団地6-1-206
日本の右翼
昭和48年9月15日発行 ¥970 〒110
著 者 猪野健治
発行者 綿秡幹夫
発行所 株式会社 日新報道
郵便番号 105
東京都港区芝栄町9番地
電話 03(431)9561
振替 東京140840
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編集人 遠藤留吉
担 当 青山博充
印 刷 上野印刷
製 本 宮田製本所
乱丁・落丁はお取り替えいたします
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2015年07月12日 08:01 ◆『株主総会百人の侍』
《西山幸輝:昭和維新連盟》
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