『標準町村議会 会議規則・委員会条例 詳解説』
(条件の禁止)
第八十条 表決には、条件を付けることができない。
本条は、表決の際に、
条件を付けることの禁止について規定している。
1 表決は、問題に対して賛成か反対かの
意思決定をするだけであって、
こういう条件が満たされると
賛成だというように、
議決の効力の発生を、
将来の不確定な事実にかからせることは許されない。
2 条件を付けることを禁止したのは、
各議員から条件が提出されると、
議長が採決をするのに判断が困難になり、
事実上採決ができなくなる。
条件が一個であったとしても、
議案には賛成だが条件には反対だ、
逆に議案には反対で条件には賛成だ
ということもあって採決ができない、
といったケースが生ずるからである。
さらに、これこれの条件が満たされるなら
よいとして可決した場合、
議決の効力は条件が満たされるまで確定しないし、
満たされなかったら
否決の扱いになるかということもあって、
条件を付けることを禁止している。
3 委員会報告に付帯決議とか付帯条件があっても、
本会議で表決の対象になるのは本案そのものであり。
付帯決議を含めて表決をすることはないから、
単に委員会としての希望表明にすぎない。
委員会の決議とか要望の趣旨を生かしたいとして、
別個に決議案を発案して決議する例もあるが、
政治的な面での効果はあるとしても、
法的に効力をもつものではない。
4 予算とか議案の内容に不満があって、
条件を付けたいのであれば、
議員の権限である修正案を出して
決着をつけるべきである。
著者 若林俊夫
昭和31年 中央大学法学部卒業
現在:北海道町村議会議長会事務局長
著書:
「標準町村議会会議規則・委員会条例―解説と運用」、
「精選議会運営問答集」、
「地方議会議員必修選書」など。
平成5年7月10日 初版印刷
平成5年7月20日 初版発行
著 者 若林俊夫
発行者 光行絋二
学陽書房[営業]東京都千代田区富士見1-7-5
電話3261-1111
振替 東京7-84240
[編集]東京都新宿区市谷薬王寺町26
印刷/東京創文社 製本/東京美術紙工
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