【真相 3(7)(19)】1948-06
出版者 鶚出版
出版年月日 1948-06
https://dl.ndl.go.jp/pid/3555910/1/1
宮様商賣一ヵ年を探る
かれらは何をしているか?
https://dl.ndl.go.jp/pid/3555910/1/4
(終 幕)オテンバ女史 桃山佳子 活躍の段
最後にふたたび銀座に歸つて、
銀六デパートに菓子部を開いている
桃山佳子(李鍵公 桃山虔一夫人)
一家の狀況を紹介しよう。
彼女が昨年七月ここに開店したのは、
銀六の中村起東社長が
妹の御亭主という關係で、
現在男三人女一人を使い、
毎朝地下鐵で澁谷から通勤の夫人
みずから包裝などもして
文字通りの陣頭指揮は
おフクロ松平俊子ゆずりの積極性からであろう。
歩道に面した一番鼻先の一角を占め、
簡素ながらも美しい着物で若づくり
(もつとも實踐高女在學中から
お化粧とデシヤバリは有名だつたが)。
デパート内の他の店員たちにも
「氣さくな方」とうけがよく、
「お手やわらかに」
と記者に應對するあたりもソツがない。
勢い、店の賣上げも一日二萬圓くらい、
家族五人の月三、四萬圓からする生活費も
ここからの収入が大きな力になつている。
將來は店のレジも自分で正確にやれるように、
簿記を習いたいそうだ。
ほかに洋裝店も計畫中で、
すでに手製の子供服などを
おフクロの勤め先「夏目」に時折出品
(ついでながら桃山夫人は手製の洋かんなども
「夏目」に出したことがあるようだ)。
元騎兵大佐の夫君虔一氏(四〇)は、
一昨年末から澁谷のマーケットで
「桃屋」なる喫茶、文房具店をはじめたが、
昨年十月に店を三人の元職員にゆずつて、
今は子供用の鐵道模型店。
住居は、戰災をうけて現在は
隣の元李堈公家に移つているが、
世田谷下馬の元の「お馬場」で
山羊十頭を飼つての
乳賣りが生業の一つ。
邸の家務部で直賣するこの乳は
一日約四升、一合八圓で
近隣約二十五人にわけているが、
證明書なしで買えるのでなかなかの繁昌。
虔一氏は好きな自動車で
子供の送り迎えをするほかは、
在宅の日が多く、
もつぱら生活の新設計。
朝鮮公族なので財産税をのがれ
なかなかの御身代と口うるさい
うわさがある、
實情必ずしも然らず、
赤字の克服に懸命のてい。
邸内地下室口に「桃山家事業部」の
立札が忘れられたように
放り出されていたのは、
何か印象的であつた。
(五・二〇)
本社編集局
https://dl.ndl.go.jp/pid/3555910/1/5
一九四八年六月一日 發行
眞相(第三巻第七號 通巻第十九號)
定價 三十圓
送料 一圓
半年概算 百八十圓
編集 發行人 佐和慶太郎
印刷所 日本印刷工業株式會社
發行所 人民社
東京都中央區銀座西二ノ三
電話 京橋(56)〇四六四番
振替 東京一一五二一一番
https://dl.ndl.go.jp/pid/3555910/1/20
図書館・個人送信資料利用可 ログイン中【小野一雄】
【 】『国立国会図書館デジタルコレクション』
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



